今回は、バンドワゴン効果とは反対の心理効果である、アンダードッグ効果について解説していきます。
アンダードッグ効果とは?
「アンダードッグ効果」は、
弱い立場や不利な状況、劣勢な者に対して同情心が集まり、応援したくなるような心理状態になる
という意味です。
「アンダードッグ」(underdog)は日本語では、「負け犬」という意味ですが、「アンダードッグ効果」は、負けそうだけど、まだ完全には負けていない人や集団に対して使われるので、「負け犬」とは少し意味が違います。
日本人には馴染み深い?
日本には、「判官贔屓(ほうがんびいき)」という四字熟語があります。
判官贔屓は、『弱い方に同情すること』を意味する言葉で、アンダードッグ効果と非常に似ています。
また、「判官贔屓」という言葉は、平安時代の武将『源義経』に由来しています。
義経は、「判官」という職に就いており、多くの功績を残したにも関わらず、頼朝の裏切りによって、悲惨な最期を迎えました。
そんな義経の悲劇的な姿に同情するものが多かったことから、「判官贔屓」という言葉が出来ました。
「判官贔屓」という言葉が原因かは分かりませんが、日本人はアンダードッグ効果を受けやすいようです。
バンドワゴン効果との関係
アンダードッグ効果は、バンドワゴン効果の対義語にあたる概念です。
バンドワゴン効果は「人気なものは、更に人気が出る」という現象であり、アンダードッグ効果は「不人気なものには、同情や応援が集まる」という現象です。
例えば選挙の場合、落選確実だと言われていた人が最後まで懸命に支持を呼び掛けていると、その姿が有権者の同情を誘い、その結果、逆転して当選してしまうことがあります。
選挙前に世論調査の結果が伝えられると、バンドワゴン効果やアンダードッグ効果が作用し、「Aさんが人気らしいから、自分も票を入れよう」「Bさんは劣勢でかわいそうだから票を入れてあげよう」という具合に、投票行動に影響することがあります。
実際の選挙では、候補者の人柄やその時々の状況、選挙戦略などによって、バンドワゴン効果とアンダードッグ効果のどちらが強く働くかが変わってくるそうです。
結果が確定する前に勝利宣言をしてしまった場合、最悪こういった“アンダードッグ効果”によって逆転勝利されてしまうケースもあり得るため、勝利宣言は慎重に行う必要があります。
具体例
アンダードッグ効果は、選挙以外でも見られます。
- 全国から優秀な人材が集まる強豪チームと地元の弱小チームでは、弱小チームを応援したくなる。
- マラソンや駅伝などで、最下位の選手やチームに「あと少しだから頑張れー」という声援が集まる。
- 企業が売れない商品を自ら「不人気キャンペーン」として、SNSなどで宣伝すると、買う人が増える。
- 相手が「自分なんて大したことない」と言うと、「そんなことない、あなたはよく頑張ってるよ」と言ってしまう。
- 「頑張ったのに上手くいかない・・・」と悩んでいる人を助けてあげたくなる
等々、アンダードッグ効果は、日常のあらゆる場面に潜んでいるものです。
アンダードッグ効果の条件
アンダードッグ効果は、弱い立場や不利な状況、劣勢な者に対する心理効果ですが、誰もが応援してもらえるわけではありません。
そこで、アンダードッグ効果によって応援されるために必須の条件を解説します。
一生懸命に努力していること
努力しているのに、結果が出ていない人に同情したくなるものであり、怠けていて結果の出ていない人は「自己責任だ」と思われてしまいます。
源義経のように、努力しているのにも関わらず、悲劇的な結果となってしまう人を救ってあげたいという気持ちがアンダードッグ効果の根幹です。
誠実であること
努力していると言っても、犯罪に手を染めている人や、不正を働いている人を応援したいと思う人はいません。
誠実な人間であることも大切です。
同情や応援を集めるには、他人からの信頼が必要です。
弱点を伝えること
自分では弱い人間だと思っていても、周りから強い人だと思われていては、アンダードッグ効果の影響は受けません。
アンダードッグ効果を期待するなら、自分の弱点や欠点をある程度周囲に開示する必要があります。
「頑張ってるけど上手くいかない・・・」というようなことを伝えないと、同情や応援は集まりません。
「弱点を明かすのは怖い」人は、信頼できる友人や、優しい人にだけ伝えたら良いと思います。
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