今回は、ブランド品が売れる理由とも言われる、ヴェブレン効果について解説していきます。
ヴェブレン効果とは?
意味
ヴェブレン効果とは、
顕示的な消費に関しては、商品やサービスの価格が高いほど価値があるように感じ、需要が高まる効果
という意味です。
一般的には、商品の価格が安いほど売れやすく、反対に高いと売れにくいものです。
庶民的なスーパーマーケットやコンビニ、ホームセンターなどでは、多くの人はより安い商品を買うでしょう。
日本には100円ショップがあるぐらいなので、人々が安い商品を求めていることは明らかです。
しかし、ブランド品など、一部の商品やサービスに限っては、むしろ価格が高い方が買う人が増えるのです。
これだけ聞くと、何とも不思議な現象です。
由来
「ヴェブレン効果」は、バンドワゴン効果の提唱者でもあるライベンシュタイン氏が、経済学者・社会学者のソースティン・ヴェブレン氏の名を用いて提唱した概念です。
その元となっているのが、ヴェブレンの「有閑階級の理論」です。
ヴェブレンは19世紀~20世紀前半のアメリカで経済学や社会学を研究し、制度派経済学の創始者と呼ばれている人物です。
※制度派経済学・・・社会における制度のあり方に注目して経済活動を見る学問。
有閑階級
有閑階級は、既に莫大な財産を持っているため、生産的な労働を必要とせず、「閑暇を娯楽や社交などに費やしているような階級」です。
有閑階級は、アメリカが資本主義大国へと発展していく時代に生まれた階級であり、これは開拓者の精神の現われとも言われています。
実用的な消費ではなく、自己顕示のために消費をしており、非実用的な物事に大金を掛けていたという特徴があります。
具体例
ハイブランドの服が人気の理由は、ヴェブレン効果で説明できます。何十万円という値段がつけられた服は、「こんなに高価なら、きっと良いものに違いない」という感覚を与えると同時に、「これほど高価な服を着ている自分を、周りに自慢したい」という承認欲求も満たすことが出来ます。
だから、値段が極端に高い商品は、高価さそのものが価値になることがあるのです。
価格を極端に高く設定するだけで、一種の販促戦略になりえます。ただし、高い値段に見合うだけの品質がなければ、詐欺のように思われ、クレームや顧客離れにつながってしまいます。
同調圧力とヴェブレン効果
他人と同調するためのニーズも微弱なヴェブレン効果と言え、有閑階級の顕示的消費に似た傾向は、一般的な経済圏でも見られると考えられます。
有閑階級の顕示的消費を一般的な経済圏にスケールダウンしたのが、「ないと恥ずかしい」という消費欲求です。
多様性の時代によって、他人と並行・同調するためのニーズは弱まっている傾向にありますが、「周りが持っているから、自分も持っていないと…」というニーズは確実に存在するのです。
マイナスの自己顕示をしないというベクトルに対して、価格が発生することも、ヴェブレン効果の一つと考えることができます。
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