自己奉仕バイアスとは?具体例を用いて解説

心理学
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今回は、失敗を他人のせいにしてしまう原因の一つである、自己奉仕バイアスについて解説していきます。

自己奉仕バイアスとは?

意味

自己奉仕バイアスとは、

人は同じ情報を与えられた場合にでも、それぞれの人は自身の立場によって、全く異なった方法でその状況を理解する

ことです。

上記の説明はかなり抽象的で分かりにくいので、簡単に言うと、

成功したときは自分自身の能力や努力のおかげであり、失敗したときは他人や環境など、外的な要因のせいだと思いこむことです。

あなたも心当たりがありませんか?

何かが上手くいったときには、「自分が努力したおかげ」と考え、失敗した時には、「自分は頑張ったけども、○○が悪い」という風に他のものに責任を押し付ける。

このような考えは、多くの人が持っていますが、この傾向が強すぎると、周囲から避けられる原因にもなります。

効果や他の認知バイアスとの関係

自己奉仕バイアスは、確証バイアスとも関係が深いとされています。

また、自己奉仕バイアスは自己高揚バイアスとも関係があります。
自己高揚バイアスは、個人がその自尊心の拠り所となっている分野で平均以上だと信じているために生じるバイアスです。

例えば、自動車を運転する人の多くは、自分が平均以上にうまい運転をすると思っているが、統計的に考えれば、自動車を運転する人の約半数は平均より運転が上手くないのは明らかです。

また、このバイアスは組織や集団でも見られ、その場合は「集団奉仕バイアス」と呼ばれます。

自己奉仕バイアスによるメリット・デメリット

自己奉仕バイアスに限らず、認知バイアスは悪いものと思われがちですが、メリットも存在します。

そこで、自己奉仕バイアスによるメリット・デメリットを解説します。

メリット

  • 楽観的に物事を見ることで、好ましくない事実や望まれない情報を肯定的にとらえる事でその事実を隠蔽することができる。
  • 自尊感情を守り満足感も増すことで、難しい課題に取り組み、不愉快な出来事にも対処できるようになる。

デメリット

  • 自分の実力を過信し、ビジネスに失敗する要因になる
  • 他人に責任転嫁して、自身は変化、成長をしようとしない。
  • 反省しないため、同じ失敗を繰り返す

自己奉仕バイアスの具体例

実際に、自己奉仕バイアスが働いている例を紹介します。

自分と他人では、同じ出来事に対しても異なる考えを持ちます。

学校の試験

学校の試験の成績に対する反応にも、自己奉仕バイアスは発生します。

  • 自分の成績の良かった時「自分が賢くて、努力したから」
  • 自分の成績が悪かった時「難しい問題を作った先生が悪い、運が悪かっただけ」
  • 他人の成績が良かった時「問題が簡単だっただけ、偶然の結果」
  • 他人の成績が悪かった時「本人の努力、能力不足」

この例では、自分の成績が良かった時、他人の成績が悪かった時には本人の努力、能力の結果と考え、自分の成績が悪かった時と他人の成績が良かった時には偶然だと考えます。

自動車事故

車の運転手が自動車事故に遭う、または回避する時の例。

  • 自分が事故を回避した時「自分の運転が上手いから」
  • 自分が事故に遭った時「天気が悪かった、車に不備があった」
  • 他人が事故を回避した時「車の性能が良いから、天気が良かったから」
  • 他人が事故に遭った時「本人の運転が下手だったから」

この例では、自分が事故を回避した時、他人が事故に遭った時には本人の運転技術が原因と考え、自分が事故に遭った時、他人が事故を回避した時には車や天気のせいにします。

自己の貢献の過大評価

自己奉仕バイアスにより、グループ内での他者との共同作業において、人は自己の貢献を過大評価し、グループ内の他者の貢献を過小評価する傾向があるようです。

過去の調査によると、夫婦間の家事への貢献度でこの傾向が見られた。

この調査では、夫婦それぞれに家事に関する自身の貢献の度合いを聞くという方法で調査が行われました。貢献の度合いは全体を 100%としてそのうちの自身の割合を記入するという方法で行われた。

だから、夫婦がお互いに自己の貢献を過大評価し、一方の貢献を過小評価している場合、夫婦それぞれが考える貢献の合計は 100%以上となります。

この実験では、この夫婦の貢献の合計は、37組中27組で100%を超える結果となり、貢献の過大申告の傾向が明らかとなりました。

この例では夫婦での過大評価について試験されたが、グループ内の作業における貢献の度合いに関する過大申告は、多くの研究で認められています。

自己奉仕バイアスの対策

上記で紹介したように、自己奉仕バイアスは様々な場面で影響を及ぼします。

責任転嫁は自己奉仕バイアスの典型例と言っても良いでしょう。

しかし、自己奉仕バイアスから脱却するための方法もあります。

相手の視点に立つ

具体例で紹介したように、自分と他人の同じ行動に対しても、違う感想を持ちます。

だから、他人の結果の原因を考える際には、「自分が相手の立場だったらどう考えるか」というのが非常に大切です。

原因は一つではないと考える

成功でも失敗でも、原因が一つだけということは珍しいのではないでしょうか。

「自分のおかげ」とか、「環境のせい」などと安易に決めつけずに、「色々な原因の結果なんだろう」と考えることが大切です。

そうすることで、凝り固まった考えから解放されます。基本的に、「どんな物事にも原因は複数存在する」と考えていた方が賢明かもしれません。

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