コンコルド効果を具体例を用いて解説!!

心理学
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今回は、投資を行うときにも影響するコンコルド効果について解説していきます。

コンコルド効果とは?

コンコルド効果は、心理現象であり、認知バイアスの一種とされています。

名称の由来

コンコルド効果の由来は、開発途中で既に採算が取れないことが想定されていたにも関わらず、開発・就航を続行して商業的に失敗した超音速旅客機コンコルドの事例です。

イギリスやフランスでの出来事なので、元々は”Concorde fallacy”の名称で呼ばれていました。

fallacyは、日本語で、「誤った考え」、「誤信」、「誤った推論」、「虚偽」、「誤謬(ごびゆう)」など複数の意味を持っているため、日本では、”Concorde effect”の訳語としての「コンコルド効果」が用いられることが多い。

効果

コンコルド効果とは、

投資の継続が損失の拡大につながると分かっていても、今まで投資してきたコスト(時間、お金、労力)を惜しみ、投資を継続してしまう心理

のことです。

コンコルド効果は経済学では「サンクコスト効果」と呼ばれます。

「サンクコスト(埋没費用)」とは、「事業や行為に投下した資金・労力のうち、事業や行為の撤退・縮小・中止をしても戻って来ない資金や労力のこと」です。

簡単に言うと、「既に費やして、回収できない投資」のことです。

コンコルド効果は人間に特有

過去の研究によって、コンコルド効果は人間以外の動物にはあまり影響を及ぼさないことが分かっています。

更に、人間の中でも、子供は大人に比べてコンコルド効果の影響を受けにくいようです。

専門家によると、コンコルド効果が人間の大人に特有なのは、財貨を浪費していると見なされたくない願望が原因だということです。

コンコルド効果の具体例

コンコルド効果が実際に人の行動に影響を及ぼす例をいくつか紹介します。

ビジネス

コンコルド効果の由来となった事例もビジネスですが、事業の規模に関わらず、新規事業で赤字が続いているのに、初期投資を回収するまで事業を継続してしまいます。

大企業では、特に経営者の迅速な対応が会社の存続を左右することになります。

初期投資が回収できていなくても、赤字事業をいつまでも残しておくよりは、早期に撤退するのが賢明な判断ですので、経営者には、コンコルド効果の克服が求められます。

投資

株式投資やFXなど、近年個人投資家が増えていますが、「新しく投資を始めた人の90%は1年以内に撤退する」と言われるほど、厳しい世界です。

プロの投資家でも、勝率100%はあり得ませんが、適切な場面で損切り(損失を抑えること)をすることで、結果的に勝率60~70%程でも、資金を増やすことが出来るのです。

しかし、1年以内に止めてしまう人の多くは、コンコルド効果によって適当な場面で損切りが出来ず、「そのうち損失が小さくなるはず」とか、「待っていたら利益に変わるはず」と考えて、いつまでも損切りできず、結果として大損してしまうのです。

投資で損をする人が多いのは、プロスペクト理論も関係しています

ギャンブル

ほとんどのギャンブルは、当たるかどうかは運次第であり、一般的に当たる確率は低く設定されています。

しかし、コンコルド効果にはまってしまうと、「もう10万円つぎ込んだから、そろそろ当たるだろう」とか、「ここまで1回も当たってないから引き下がれない」と考えてしまい、一発逆転を夢見てギャンブルを継続してしまいます。

恋愛

「恋は盲目」という言葉があるように、恋愛はそもそも冷静な判断が難しいものですが、そこにコンコルド効果の影響も受けると、感情的に動いてしまいます。

恋人と別れたいと思っていても、「ここで別れたら、今まで恋人にかけた時間とお金が無駄になってしまう」と考えて、惰性で付き合い続けてしまいます。

しかし、仮に別れたとしても、経験や思い出が消えるわけではありません。

また、どう考えても脈なしの相手に、いつまでもアタックし続けるのも、惚れ込んでしっている可能性もありますが、「今まで散々アプローチしてきた時間を考えると諦められない」と思ってしまうこともあります。

ゲームへの課金

スマホやPCで「基本プレイ無料」ゲームが増えていますが、これらのゲームの多くには課金要素があります。

「ガチャ」を回したり、キャラを育成したりするのに、課金する人も少なくありません。

しかし、「ガチャ」もギャンブルと一緒で、自分の欲しいものが当たるかは運次第ですが、「10万円課金したからそろそろ当たるだろう」などと考えて、更に課金してしまうのは、コンコルド効果の典型例と言えるでしょう。

日常生活

自分で作ったり、組み立てたりした家具や道具などを大切に使うのも、コンコルド効果の一種ではないかと言われています。

これに関係するものとして、「IKEA効果」というのがあります。

スウェーデン発祥で世界各地に出店している家具量販店であるIKEA(イケア)の家具は、自分で組み立てるものが多く存在します。

そして、2011年の研究によると、「人は自ら創作したものに対して思いや愛着を持ち、過大評価をすることがある」ということが明らかになりました。

「自分で組み立てた製品」は、自分が有能であるということを示すことができるため、IKEA効果により、組み立てた努力を実際の商品の評価に反映させてしまうと考えられています。

また、2011年の研究前にも、混ぜるだけできるホットケーキミックスに、「卵を入れる」というひと手間を加えることで、売上が上がったという事例があります。

コンコルド効果の対策

このように、日常の様々な場面で影響を及ぼすコンコルド効果ですが、対抗する方法があります。

以下、3つの対策を紹介します。

損切りするラインを決めておく

「損切り」というのは、株式投資やFXなどで、損失を抱えている時に、これ以上損失が拡大する前に、損失を確定させるものです。

投資の世界では、「損切り」が大切であることは有名ですが、投資以外でも、「損切り」は重要です。

  • ビジネスで「3年以上赤字が続いたら撤退する」
  • ギャンブルで「1日に1万円負けたら絶対に帰る」
  • 恋愛で「1年アプローチしても脈なしなら諦めて新しい出会いを探す」

など、「損切り」の基準を事前に決めておくことで、コンコルド効果の影響を抑えられます。

ゼロベース思考

「現在までにかけた費用や時間、労力のことは一切考えず、白紙の状態だったらどうするか」というゼロベース思考も大切です。

これによって、「損失を取り戻す」という考えを捨て去り、冷静に考えられるようになります。

個人の場合はゼロベース思考で何とかなることも多いのですが、組織や集団になると、責任問題にもなるので、なかなか難しいのが現実です。

事前に損益を試算する

このまま継続したら、どれぐらいの時間、お金、労力が必要になるのかを試算してみましょう。

「損失を取り戻したい」と感情的になっていても、客観的な数字を見れば、少しは冷静に判断できるようになります。

感情に任せて突き進んでしまうのが、一番危険なので、何とか冷静に考えられるようにしましょう。

まとめ

コンコルド効果は、理解していても簡単に克服できるものではありません。

しかし、いつまでも過去に囚われていては、前に進めません。

気持ちを切り替えて、前を向いて生きていくことが大切です。

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