今回は性格は変えられるのかということについて、統覚バイアスの話も含めて解説していきます。
統覚バイアスとは?
統覚バイアスとは、書籍『嫌われる勇気』で有名なアドラー心理学の用語です。
統覚バイアスは、「人間は、自分の性格に一致するように外界の出来事に意味づけをする」というバイアスの一種です。
性格というのは、その人の思い込みの集合体のようなものです。そして、人は自分の思い込みというバイアスを通してしか、世界を解釈することができません。
そして、自分の性格という思い込みに一致する情報しか、受け入れません。自分に都合のい情報だけを取り入れて、都合の悪いことは無視するか、曲解して、自分の都合のいい情報に変えてしまいます。
これは、「確証バイアス」に似ています。
性格は変えられないのか
一般的に、性格を大きく変えることは困難なことだと考えられています。しかし、「性格を変えたい」と思っている人は少なくないと思います。
では、なぜ性格は簡単に変わらないのでしょうか?
それは、人間は一般的に自分の性格を変えたくないと思っているからです。
なぜ性格をかえたがらないかと言うと、性格を変えると、「何が起こるか分からない」からです。
今までの性格を維持していれば、良いこともあれば悪いこともあるけれど、何となく未来が予測できます。
しかし、性格を大きく変えると、生き方そのものが変わるので、どんな未来が待っているか全く予想できません。
人間は、基本的には保守的であり、一切の予測ができないギャンブルのような人生を歩むことを好まないものです。
だから、「わざわざ自分の性格を変えて、危険を冒すような真似はしたくない」と考える人が多いのです。(無意識にそう考えている人が多いですが)
性格を変えるにはどうすればいいのか
ここまで読んで、「やっぱり性格は変えられないのか」と落胆した人もいると思いますが、心配は無用です。
初代日本アドラー心理学会会長である野田俊作氏によると、
「性格は本当はとても変わりやすいが、性格がコロコロ変わると困るので、人間は自分の性格を変えないための能動的努力を絶えずやっている。だから変わらない。」
としています。
そして、性格を変えるためには、「性格を変えよう」と決断するのではなく、「今の性格を保つのをやめよう」と決断することが大切だと言います。
今までの行動パターンや信念、自分の中の常識など、自分の中で無意識のうちに「当たり前」とされてきたことを、全て捨ててみる。これが出来れば、性格は変えられます。
しかし、先ほども述べたように、人間は保守的であり、予測できないもの、不確定なものを受け入れる際には、著しく不安を覚えます。
逆に、未来の不確定さを受け入れることのできる勇気さえあれば、性格は簡単に変えられます。
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