今回は、コールドリーディングについて解説していきます。
コールドリーディングとは?
コールド・リーディング(Cold reading)とは話術の一つです。
相手の行動を観察したり、会話を交わしたりするだけで、相手の思考を言い当てることで、相手の心が読めるかのように信じさせる話術のことです。
「コールド」(cold)とは「事前の準備なしで」、「リーディング」(reading)とは「相手の心を読む」という意味であり、探偵などを使って、事前に相手の情報を得た上で相手の心を読んだように見せかける「ホットリーディング」とは明確に区別されます。
つまり、相手のことを全く知らなくても、コールドリーディングを利用すれば、相手の情報を巧みに引き出すことができるのです。
コールドリーディングは怪しい術?
コールドリーディングは、主に占い師や自称霊能力者、自称超能力者などが良く使う話術であり、詐欺や新興宗教の勧誘などに使われることもあります。
このように言うと、「人を騙すためのものなのか・・・」と思うかもしれませんが、実際には、技術自体はセールスマンによる営業、犯罪捜査におけるプロファイリング、催眠療法や恋愛など、様々なものに応用可能であり、必ずしも悪いもの、怪しいものではありません。
しかし、コールドリーディングの技術を悪用して、人々を騙そうとする悪い人がいるのも事実ですので、コールドリーディングの技術を学ぶことは、自分の身を守ることにも繋がります。
使い過ぎに注意しよう
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という言葉があるように、何事もやり過ぎは良くないものです。
コールドリーディングも様々な場面で使える話術ですが、常にコールドリーディングを心がけていると、「自分の心の中を覗かれているようで気味が悪い」と思われる危険があります。
だから、初対面からある程度仲良くなるためにコールドリーディングを利用し、それ以降は自然体で接した方が良いと思います。
また、「人の悩み事を言い当て、一緒に解決策を考える」ような、人の役に立つ使い方をしてもらえることを願っています。
間違っても、詐欺師やエセ超能力者にならないで下さい。
コールドリーディングの実践
「コールドリーディングの技術を実際に使いたい」と思う人も多いのではないでしょうか?
ここからは、コールドリーディングのテクニックが実際にどのように使われているかを解説します。
そもそも、コールドリーディングとは、一つのテクニックではなく、様々な心理学や認知科学の効果を利用した話術の総称です。
バーナム効果や確証バイアスなども深く関係しています。
自分の発言に自信を持つ
まず、技術的な問題の前に、心理的な問題です。
仮にあなたが正しいことを言っていたとしても、自信なさそうにしていると相手から信用されません。
あなたも、占い師の人が「本当に合ってますか?」とか聞いてきたら、「この人の言うことを聞いて大丈夫かなぁ・・・」と心配になるでしょう。
「自分はコールドリーディングの技術を身に付けているから、どんな相手の心も読める!!」というぐらい強気な心構えが必要です。
曖昧なことを言う
まず、初対面で全く相手の情報が無い場合には、外見ぐらいしか推測できる要素がありませんし、一言目から見当違いなことを言ってしまうと、一気に信用を失い、回復が困難になります。
だから、最初はバーナム効果を利用して、多くの人に当てはまるような曖昧なことを言って、相手の情報を引き出します。
そこで、ストックスピールというものがあります。
ストックスピールとは、およそ誰にでも当てはまるような、漠然とした質問のことです。
これまでに様々な研究が行われており、「ストックスピール」に該当する質問は、数多く存在します。
ここでは、20個のストックスピールを紹介します。
- かなり非現実的な野望を抱いてしまうことがある
- 外向的で愛想がよく、付き合いが良い時もある一方で、内向的で用心深く引きこもってしまうこともある
- 自分を素直に出しすぎてしまうのもあまり懸命ではないということを、これまでの人生経験のなかから学んできた
- ある程度の変化や自由を好み、縛られたり制限されたりすると不満を感じる
- 自分に対して厳しすぎるところがある
- 自信があるように見えるが、心の中ではくよくよしたり、不安になってしまう面がある
- 自分の考えをしっかり持っていて、根拠なしに人の言うことを信じることはないと、自負している
- これまでの人生の選択や行動は本当に正かったのだろうかと疑問に思うこともある
- 自分の中にはまだ掘り起こされていない才能が眠っていると思う
- 性格に多少の弱点はあるけれども、たいていはそれを埋め合わせることができる
- 人から好かれたい、認められたいという欲求が強い
- プライベートの時と仕事の時では性格が違う
- 人間関係で問題を抱え、悩んでいたことがある
- 自分自身に投資している
- 読もうと思いながら、まだ手をつけずにいる本がある
- アルバムに整理せずに、放置している写真がけっこうある
- 時間ができたらやろうと思いながら、何年もできずにいることがある
- 自分には欠点があると思うが、自分を完全に嫌うことはできない
- 最近眠りが少し浅い気がする
- 現状に不満を持っている
これらは全て、80%~90%以上の人に当てはまる内容です。
しかし、多くの人は「自分の特徴を言い当てられた」と思います。
また、相手がストックスピールを否定した場合も、慌てずに落ち着いて、「あなたはまだ気づいていないかもしれませんが、実はこういう一面も持ち合わせています。」
と確信を持って言うことで、相手に「実はそうなのかもしれないな」と思わせることができます。
相手を褒める
「ストックスピール」を利用して、相手の情報を引き出したら、相手を褒めます。
褒められて嬉しくない人はいません。
ただし、適当に褒めると逆に不信感を持たれる可能性があるので、できるだけ相手の発言をもとに褒めましょう。
そうすれば、「自分のことを理解した上で褒めてくれている」と思い、更に信用を得られます。
例えば、相手が自分を責めるようなことを言ったら、「自分に対して厳しすぎるところがありますね。」とそれとなく褒めたり、現状に不満を持っていたら、「現状を変えたいという向上心がありますね」と褒めたりします。
信頼関係を築く
ここまでで、相手はあなたのことをある程度信用しているので、悩み事を打ち明けたり、相談をしたりすることもあります。
そこからは、基本的には相手のことを肯定しますが、細かい部分はあなたの考え次第なので、もし相手とこれからも仲良くしたいなら、誠実に答えることを推奨します。
コールドリーディングの技術は初対面からある程度仲良くなるまでにはとても役立ちますが、それ以降は個人の努力によるのです。
本当に相手と仲良くなりたいなら、誠実に、相手の気持ちを考えて接するのが大切です。
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