今回は、認知バイアスの一種である、確証バイアスについて解説していきます。
確証バイアスとは?
「確証バイアス」とは、自分にとって都合のいい情報ばかりを無意識的に集めてしまい、自分の考えを否定するような情報を無視したり軽視したりする傾向のことです。
先入観があると、様々な情報があっても、自分の考えを支持するような情報以外は、「例外」として、真剣に考えないことがありますが、これは正に「確証バイアス」です。
「確証バイアス」は、本やインターネットなどで何かを調べている時だけでなく、人と会話している時など、常に存在しています。
身近な確証バイアスの例
ここからは、確証バイアスが実際に働いている例を紹介していきます。
例1 血液型と性格
血液型と性格については、「バーナム効果」も深く関係していますが、更に人が信じ込んでしまう要因の一つに、確証バイアスがあります。
例えば、血液型がA型の人は几帳面だとよく言われますが、身近な家族や友人の中に、A型で几帳面な人が一人でもいると、より信じやすくなります。
実際には、他の友人の中には、A型でも、全く几帳面ではないという人がいたとしても、通説通りの例が1つでもあれば、他の当てはまっていない例は、「例外」と考えてしまいます。
それによって、多少の例外があったとしても、説を支持する例ばかりに注目するため、説の真偽を疑わない人が多いのです。
意地でも離婚、縁切りをしない人
特に、DV男に捕まった女性に多いと思いますが、明らかに相手の性格や言動、行動に深刻な問題があるのに、「相手(彼氏や夫など)は本当は良い人で、今は少し普段と違うだけ」と考える人がいます。
これも、確証バイアスの典型例と言えるでしょう。
日常的に暴力や暴言、経済的DVなどを受け続けているのに、たまに一緒に旅行に行ったり、家事を手伝ったりするだけで、「やっぱり本当は良い人だから別れたくない!!」と思い込んでしまいます。
「相手は良い人」というのを前提として、それ以外は全て「例外」として無視、軽視してしまいます。
これにより、相手がどれだけ極悪非道な人間だとしても、たまに優しくされるだけで、「本当は良い人だ」と信じて疑わないようになります。
こういう「意地でも別れない」と思っている人は、「相手は本当は良い人」と思い込んでいることが多いので、もし、身近に明らかなDV男に捕まっている人がいて、その人を助けたいと思うなら、感情論ではなく、淡々と事実(現状)を伝えてあげることで、相手も冷静になって、洗脳が解けるかもしれません。
確証バイアスに関する実験
確証バイアスに関する実験として、最も有名なのが、ウェイソン選択課題(4枚カード問題)です。
これは、ペーター・カスカート・ウェイソンが1966年に考案したロジックパズルで、様々な種類の問題があります。
1つの例を紹介します。良ければ、少し考えてみて下さい。
4枚のカードがテーブルに置かれている。それぞれのカードは片面には数字が書かれ、もう片面には色が塗られているものであり、2・5・赤色・青色が見えている状態である。このとき「カードの片面に偶数が書かれているならば、その裏面は赤い」という仮説を確かめるためにひっくり返す必要があるカードはどれか?

下に正解が書いてあります。
※自分で考えたい人は、考えてから見るようにして下さい。
例題の正解は、「2のカード(偶数のカード)と青色のカード(赤色ではない色のカード)をひっくり返す」である。
しかし、多くの人が2のカードと赤色のカードを選ぶことが、似たような問題を用いた研究によって、明らかになっています。
では、赤色のカードが正解でない理由を説明します。
問題文は、カードの片面に偶数が書かれている⇒裏面は赤色であるという仮説の正しさを調べたいだけで、
その逆である、裏面は赤色である⇒カードの片面に偶数が書かれているというようなことは、一切書いていません。
だから、赤色のカードの裏面が偶数でも、奇数でも、問題文にある仮説とは全く関係ないのです。
そして、青色のカードが正解である理由は、もし青色のカードの裏面に偶数が書かれているとしたら、偶数の裏面が青色(赤色ではない)となり、仮説が正しくないことが分かります。
このように、数学的(あるいは論理的)に考えれば、そこまで難しい問題ではないのですが、なぜか多くの人が間違えてしまいます。
このような間違いがなぜ起こるのかというと、「カードの片面に偶数が書かれているならば、その裏面は赤い」という仮説を否定するような事例ではなく、仮説を肯定する事例を優先的に探そうとするからだと考えられています。
しかし、このウェイソン選択課題(4枚カード問題)は、社会的ルールに関する問題の場合には、正答率が高いことが明らかになっています。
なので、身近な問題については、必ずしも確証バイアスが働くとは限らないようです。
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