ニーチェの力への意思とは?真の世界は存在しない

哲学
AD

今回は、ニーチェの思想の中でも、「力への意思」について解説していきます。

力への意思とは?

「力への意思」とは、

つねに自己を超克・強化し、成長しようとする根源的な生命力に基づく意思

のことです。

生命の持つ意思は、絶えずより強くなろうとして力を目指す。あらゆる抵抗を克服して破壊と創造を繰り返し、絶えず自己を強化して、向上させようとする生の積極的肯定こそが、生命の意思の本質である。

ニーチェは、力への意思を世界や歴史の根源的な原理とし、これによってニヒリズムを克服しようとしました。

また、著書『力への意思』はニーチェの死後に出版されたものですが、「力への意志」という言葉は『ツァラトゥストラはこう語った』『人間的な、あまりにも人間的な』の中でも登場した。

ちなみに、「力への意思」という概念は、ショーペンハウアーの「盲目的意思」(生への意思)に影響されたものと考えられています。

世界は虚構である

人間は、力への意思に基づいて、自分の生存に有利になるように、世界を解釈する。

また、これは人間だけでなく、あらゆる生物に当てはまります。

虫は虫の都合に合わせて世界を解釈するし、魚は魚の都合に合わせて世界を解釈します。

ニーチェの著書『善悪の彼岸』では、以下のように述べている。

どこかに唯一の真理、真の世界があるのではない。

力への意思により解釈され、発生した個別の真理、個別の世界があるだけだ。だから、認識の数だけ世界は存在する。

そういう意味で、世界は虚構であり、真理は誤謬(間違い)なのだ。しかし、その虚構と誤謬は、生命を維持・促進させるための条件である。

論理的な虚構を承認することなしには、絶対的なもの・自己同一的なものという純然たる仮構(虚構)の世界を手がかりにして現実を測ることなしには、数によって不断に世界を偽造することなしには、人間は生きることはできないだろう。

難しい言い方をしていますが、要するに、人間が勝手に解釈した見せかけの世界こそが、私たち人間にとっては、唯一の世界なのです。

だから、あらゆる生物に共通する、唯一の客観的で絶対的な世界など存在しないのです。

超人への道

・絶対的な真理も、客観的な世界も存在しない。

・世界に存在するあらゆるものは、「力への意思」が生み出した虚構である。

このように考えると、ニヒリズム(虚無主義)に陥ります。

しかし、ニーチェは、ニヒリズムを徹底するべきだと言います。

ニーチェは、ニヒリズムを正面から受け止めたうえで、新しい価値判断の基準を創出できるような「力への意思」を持つ人間を「超人」と呼びました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました