男女平等政策が世界的に進められている昨今ですが、国の男女平等の度合いを示す指標は複数存在します。
GDI（ジェンダー開発指数）
ジェンダー開発指数（Gender-related Development Index、GDI）とは人間開発指数（HDI）の一つであり、 国際連合開発計画（UNDP）による人間開発報告書で毎年報告されます。
人間開発指数に男女間の不平等を反映させたものです。
GDIは、人間開発の3つの基本的な側面である健康、知識、生活水準における女性と男性の格差を測定し、人間開発の成果におけるジェンダー・ギャップを表しています。
ジェンダー開発指数は以下の指標から計算されます。
- 健康・・・男女の出生時平均余命
- 知識・・・男女の平均期待就学年数、男女の平均実績就学年数
- 人間らしい生活水準・・・男女の国民総所得（GNI）
2020年では、日本は167か国中55位です。
GDIは、HDIの基礎的構成要素におけるジェンダーの不平等の度合いに基づいて、HDI（人間開発指数）の値に調整を加えた指数なので、ジェンダー不平等を測るにはあまり適していないようです。
GII（ジェンダー不平等指数）
ジェンダー不平等指数（GII）は、リプロダクティブ・ヘルス（性と生殖に関する健康）、エンパワーメント、労働市場への参加の3つの側面における達成度の女性と男性の間の不平等を映し出す指標です。
値は、0（女性と男性が完全に平等な場合）～1（すべての側面において、男女の一方が他方より不利な状況に置かれている場合）の間の数字で表されます。
ジェンダー不平等指数は主に以下の指標から計算されます。
- リプロダクティブ・ヘルス・・・妊産婦死亡率、15～19歳の女性1000人当たりの出産数
- エンパワーメント・・・両性が立法府の議席に占める割合、両性の中等・高等教育の達成度
- 労働市場への参加・・・女性の就労率
2020年では、日本は162か国中24位です。
GIIにはデータの面で重大な制約があり、採用する指数の選択肢が狭められています。
エンパワーメントに関して、地方議会やその他のコミュニティレベルでの参加や公的な舞台への参加の度合いは考慮できていません。
労働市場への参加の側面では、所得、雇用、無償労働に関する情報が欠けています。
時間の使い方や資産の所有状況、ジェンダーに起因する暴力、コミュニティの意思決定への参加といった側面も反映されていません。
これは主として、データの不足が原因です。
SIGI(社会制度・ジェンダー指数)
OECD開発センターの「社会制度・ジェンダー指数（SIGI）」は、180カ国の社会制度における女性差別を測定しています。
法律、社会規範、慣行を考慮することで、SIGIはジェンダー不平等の根本的な要因を捉え、変革的な政策転換に必要なデータを提供することを目的としています。
IGIは、女性の生活に影響を与える主要な社会経済分野にまたがる、4つの次元の差別的な社会制度を対象としています。
- 家庭における差別
- 身体的完全性の制限
- 生産的・経済的資源へのアクセス制限
- 市民の自由を制限する
SIGIの変数は、不平等な相続権、児童婚、女性に対する暴力、不平等な土地や財産権などの差別的な社会制度を数値化したものです。
2019年では、日本は120か国中54位です。
GGI（ジェンダー・ギャップ指数）
0が完全不平等、1が完全平等を表しています。
ジェンダー・ギャップ指数は以下の4つの主要な側面におけるジェンダーに基づく格差を表す指標です。
- 経済的参加と機会
- 教育達成
- 健康と生存
- 政治的エンパワーメント
2021年では、日本は156か国中120位です。
まとめ
「男女平等」と言っても、指標によって順位が大きく異なります。
マスメディアでは、ほとんど「ジェンダー・ギャップ指数」しか取り上げられませんが、一つの指標では実態を完全には把握できません。
故に、複数の指標を参考にして、これからも日本、及び世界の男女平等が勧められることを期待します。
参考
・UNITED NATIONS DEVELOPMENT PROGRAMME Human Development Reports Gender Development Index (GDI)
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