世界の国歌について紹介します。
今回は、キューバ共和国の国歌『バヤモの歌』を紹介します。
歌詞
Al combate corred, bayameses,
que la patria os contempla orgullosa.
No temáis una muerte gloriosa,
que morir por la patria es vivir.
19 de septiembre de 2019 Gaceta Oficial 1589
En cadenas vivir es vivir
en afrenta y oprobio sumido.
Del clarín escuchad el sonido.
¡A las armas, valientes, corred!
歌詞の意味
武器を取れ 急げ バヤモの民よ!
祖国は汝を誇らしげに見つめている
栄光ある死を恐れるな
祖国のために死ぬことは生きることである
楔に繋がれて生きることは
恥と不名誉に浸ることである
聞け 喇叭の響きを
急げ 勇者たちよ!
成り立ち
『バヤモの歌』は1867年に生まれました。
宗主国であったスペインに対する第1次独立戦争の口火が切られたその前年、革命の指導者たちはバヤモ市内にあった弁護士ペドロ・フィゲレドの自宅で会合を開きました。
その席で、フランスの国歌『ラ・マルセイエーズ』のように圧政に苦しむ国民を一致団結させる国歌を作ってくれないかと仲間の一人であったマセオ・オリソオに乞われた弁護士のフィゲレドは、音楽の素養があったため快諾し、一晩でこの歌を書き上げました。
1868年5月8日、フィゲレドは、音楽大学の教授であり、指揮者でもあったマヌエル・ムニョス・セデーニョに、宗教的賛美歌とはかけ離れた壮大な行進曲、戦争と勝利の賛歌、戦いと祖国への思いの高揚を訴えるべき楽曲のオーケストレーションを依頼します。
1868年6月11日、フィゲレドの考えにより、バヤモのイグレシア・マヨール(大教会)でこの曲が初めて演奏されました。
1868年10月10日、革命が勃発し、10日後の20日、バヤモ市は反乱軍に占拠されます。
反乱軍の喜びと喧騒の中、カルロス・マヌエル・デ・セスペデスら愛国者たちと肩を並べ、讃美歌の歌詞を求める声に囲まれたフィゲレドは、ポケットから鉛筆と紙を取り出して、馬の鞍に足をかけ、手書きで歌詞を書き、それをコピーして初めて出会った人たちに歌われました。
それ以来、この歌詞は独立運動の一つ一つの行動を司り、キューバ人の愛国心を表現するものとなった。
将軍として革命軍に加わったフィゲレドでしたが、1870年8月17日にスペインに捕らえられ、国家に逆らった罪に問われ、革命の成功を見ることなく、殺されてしまいました。
彼は「祖国のために死ぬことは生きることなり」といった最後の言葉を残したと言われています。
この賛美歌は、すべての自由主義闘争の中で歌い続けられ、1898年に戦争が終わると、「キューバ人の賛美歌」として知られるようになった。
しかし、時代の変遷とともに、原曲の楽譜がないため、メロディが変化していきました。ハーモニーやイントロについても、アントニオ・ロドリゲス・フェレールによるものと、ホセ・マリン・バローナによるものの2種類がありました。
そしてついに、フィゲレドの直筆のオリジナルが見つかりました。
その結果、分析が行われ、様々な議論が交わされたが、ロドリゲス・フェレール版を維持することになりました。
『バヤモの歌』は、1893年に共和国国歌として正式に制定されました。
キューバが、フィデル・カストロによって成し遂げられたキューバ革命により、社会主義政権を樹立する70年ほど前のことでした。
参考
・世界の国歌・国旗 単行本 – 2020/3/27 弓狩 匡純 (著)
・GACETA OFICIAL DE LA REPÚBLICA DE CUBA MINISTERIO DE JUSTICIA
・Symbols of the Cuban Nation
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