ピュタゴラス

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今回は、古代ギリシアの哲学者ピュタゴラスについて解説します。

ピュタゴラスとは?

ピュタゴラス・・・古代ギリシアで前6世紀に活躍した哲学者・数学者・宗教家。

ピュタゴラスは書物を書かなかったため、現在残されているのは彼のことを詳しく知る者たちの証言のみである。

ピュタゴラスは、ギリシア世界で有名な知識人であったようだ。

詩人・哲学者のエンペドクレスによると、

あの人々の間に、計り知れぬ多大の智を弁えるひとりの人物があった。
まことに その人は思慮の最大の富をわがものとし、
わけても ありとあらゆる賢い業に通じていた。
彼は、存在するすべてのものの一つ一つを容易に見てとったかだら。
十度も、いや二十度も人間の生を受けとることによって。

ピュタゴラスは、計り知れぬ多大の智を持つ知識人として描かれている。

しかし、注目すべきは最後の行である。

魂の不死と転生についてピュタゴラスが語っていたことについては、ヘラクレイトスと同時代の詩人哲学者クセノファネスの断片からも、知ることができる。

あるとき 彼(ピュタゴラス)は子犬が打ち叩かれているところを通りかかり、
不憫に思い こう言ったと伝えられている。
「やめよ 叩いてはならぬ。これは私の友人の魂だからだ、
その鳴く声を聞いて それとわかったのだ。」

ピュタゴラスが魂の輪廻転生、生物類縁の思想を持っていたことがわかる。

アリストテレスの弟子が書いた『ピュタゴラス伝』に基づく証言によると、

ピュタゴラスがその仲間の者たちに語ったことについては、誰ひとりとして確実なことを言えるものはいない。彼らにあってはその沈黙は決して並のものではなかったからだ。にもかかわらず、広く万人に知られるところとなったのは、まず第一に、彼の言によれば、魂が不死であること、次に魂は他の動物の種族の中へと転生すること、それにくわえてさらに、ある時に起こった事柄は一定の周期を経て再び起こること、したがって絶対に新しいなどというものは何一つないこと、また生あるものはすべて親族であると考えなければならないことである。ピュタゴラスはこれらの教義をギリシアに導入した最初の人物であったようである。

ピュタゴラスと宇宙万有

ピュタゴラスの弟子の残した書物によると、

宇宙のうちにある自然万有は、無限者(限定を受けていないもの)と限定者(限定を加えるもの)から 調和的に組み立てられたのだ、全体として農中も、その中にある一切のものも。

あるものはすべて、限定者であるか、あるいは無限定者であるか、それとも限定者であるとともに無限定者でもあるか、でなければならない。

ここから、宇宙の原理を限定者と無限定者に分ける彼の宇宙生成論の基本見解が示されている。

また、数学者でもあったピュタゴラスは、数をとても重要な存在と考えていたようだ。

知られる限りのものはすべて、数をもつ。というのも、数なくしては何ひとつ思惟されることも、認識されることもできないからだ。

実際 数は、二つの固有の種類、すなわち奇数と偶数をもち、また第三のものとして、この両者から混合されてつくられた、奇偶数をもつ。

奇数は限定者、偶数は無限定者であり、一は奇数・偶数の区別の外に位置し、奇・偶という原初的な対立概念の双方をあわせもつ、根源的単位である。

調和的に構成された原初のもの、一なるものは(宇宙という)天球の中央にあって炉(ヘスティア)と呼ばれる。

「原初のもの、一なるもの」は、単に抽象的単位や数ではなく、物理的・感覚的な物体、息をする生命体でもあり、数を産むとともに宇宙にある一切の感覚的事物をも生み出すのである。

参考

『ソクラテス以前の哲学者』 廣川洋一著

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