いじめの定義は変わる
いじめの定義は、文部科学省が、何度か変えています。
2007年以前では、
「自分より弱い者に対して一方的に、身体的、心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの」
とされていました。
その後、2013年に「いじめ防止対策推進法」が施行され、その中で定められたものが、2020年時点でも適応されました。
この法律によれば、いじめとは児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍しているなど当該児童生徒と一定の人的関係のあるほかの児童生徒が行う心理的または物理的な影響を与える行為としています。
これを見ると、「自分より弱いものに」、「一方的に」、「継続的に」という3つの要素が削除されています。
つまり、現在のいじめの定義では、以下のことが言えます。
・加害者と被害者の間に明確な力関係(スクールカーストなど)は必要ない。
・被害者が抵抗していても、いじめと認められる。
・半年や1年以上のような、長期間にわたるものでなくても、いじめと認められる。
いじめの認知件数
昔は教師が当たり前のように体罰を行っていたせいもあって、子供同士の暴力や暴言も「遊び」として軽視されてきましたが、近年では、子供の権利を守るためにいじめ問題の対策が少しずつ進んでいます。
そして、いじめの定義が変わることにより、より多くのいじめが認知されるようになりました。
文部科学省の「令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」によると、いじめの認知件数は、前年度より6万8,563件増え、過去最多の61万2,496件となりました。
また、いじめを認知した学校数は3万583校であり、全学校数に占める割合は82.6%に上りました。
いじめの認知件数が増加したことを嘆く声も多いですが、いじめが黙認されていては、一向に改善しないので、認知されるのは悪いことではありません。
年齢別
小・中・高校、特別支援学校の認知件数では小学校が最も多く、全体の約80%は小学校で発生し、特に小学校低学年でのいじめが増加しています。
更に、小・中・高校における暴力行為の発生件数は、7万8,787件で前年度より5,847件増加しました。
実は、中学校・高校では暴力行為は減少したのに対し、小学校では大幅に増えており、全体的にいじめの低年齢化が起こっていることが分かります。
公立と私立
小・中・高校、特別支援学校の全てにおいて、国公立の学校に比べて、私立の方がいじめを認知している学校が少ないのです。
具体的には、国立学校の83.1%、公立学校の85.0%がいじめを認知したのに対して、私立学校は50.9%しか認知していません。
公立と私立では生徒の層が異なるため単純には比較出来ませんが、いじめはどんな社会にもあるものなので、私立学校の方がいじめを問題として扱わない隠蔽体質なのではないかと疑ってしまいます。
いじめの分類
いじめと言っても様々です。
ここでは、大きく3つに分けます。
精神的ないじめ
・からかわれる、悪口を言われる、嫌なことを言われる。
・仲間外れにされる、陰口を言われる、無視される。
・恥ずかしいことをさせられる、やりたくないことを押し付けられる。
身体的ないじめ
・殴る、蹴るなどの暴力
・暴力などで脅して、お金や持ち物を奪う。
・持ち物を壊されたり、服を汚したり、破ったりされる。
インターネットを介したいじめ
・LINEやメール等で、直接悪口を言う。
・Twitterやグループラインなどで、本人のいないところで陰口を言う。
・個人情報や恥ずかしい写真などを勝手にTwitterなどで晒す。
いじめ等の相談
一人で抱え込んでも、いじめの解決は難しい場合が多いです。
学校の先生や友人、家族にも相談しに食い場合は、子供の相談を専門にしている人達を頼るのも一つの手です。
また、「いじめは加害者のケアも大切」です。
もし、今現在誰かをいじめていて、悩んでいる人も、ぜひ相談してみて下さい。
【24時間子どもSOSダイヤル】
子ども用に文部科学省が設置している電話相談です。
受付日時:毎日、24時間対応
電話番号:0120-0-78310
【チャイルドライン】
18歳までの子ども用の相談窓口です。
受付日時:毎日、午後4時~9時まで(12月29日~1月3日を除く)。
電話番号:0120-99-7777
【子どもの人権110番】
子ども用に法務省が設定している電話相談です。
受付日時:平日、午前8時30分~午後5時15分まで。
電話番号:0120-007-110
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